一定の数の人が市街に繰り出せば、政権を倒すことにつながり、革命の成否を分ける抵抗運動の「3.5%ルール」というものが存在する

✎ 1〜 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ところが独裁者は、市街に繰り出す人々を無視することはできない。独裁者にとって、それは現実のジレンマだ。もし抗議行動を取り締まらず、許したなら、他の人々もそれに加わる気になりかねない。

それが連鎖反応を引き起こし、抗議行動が拡大して、政権そのものを脅かすほどになりうる。抗議者たちは、明確に禁じられていたのにもかかわらず、抗議デモを行ってもお咎めなしで済んだなら、政権に逆らって他に何をしでかすか、知れたものではない。そうなれば危険だ。

社会科学では、抗議行動が1か所から別の場所へと拡がるプロセスを「拡散」と呼ぶ。この現象は、たとえば模倣のような、さまざまなメカニズムを通して起こりうる。

もしある場所の抗議者たちが、別の場所の抗議者たちが治安部隊に殴打されないのを目にしたら、自らも彼らに倣うかもしれない。それだけでなく、彼らから何か学ぶことができないか自問し、それによって、自分たちの抵抗運動をより効果的にできる。

だからこうした抗議行動は、勃発したときは伝染するだけでなく、町から町へと拡がるにつれて効果を増す。反体制派の人々は互いに学び合い、刺激し合うからだ。

抗議行動の2つのカテゴリー

この学習効果は、常に起こる。アラブの春〔訳注 2010〜11年にアラブ諸国で起こった民主化運動〕の間、多くの反体制派は、政治学者ジーン・シャープの著書『独裁体制から民主主義へ』(瀧口範子訳、ちくま学芸文庫、2012年)を参考にした。

1993年に書かれたこの本は、ストライキから、政権高官の模擬葬儀といった一風変わった抗議行動まで、民衆の抵抗運動のための198の方法を概説している。

ジーン・シャープによれば、抵抗運動の方法は、「作為」と「不作為」という2つのカテゴリーに分けられるという。平たく言えば、してはならないはずの行為をすることと、しなければならないはずの行為をもはやしないことだ。

抗議行動の拡散は独裁国家に限ったことではないが、拡散の影響は独裁国家ではとりわけ重要だ。なぜなら、抗議をしたくてもできない人々が直面する連携の問題を解決するのに役立つからだ。

次ページデモ行進への参加
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事