印象操作に成功すれば、たとえエリートたちや国民からあまり支持を得られなくても、少数の軍人が政府を倒すことができる

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抜け目ないクーデター指導者たちはそれを承知していて、クーデターを企てるときには、限られた力を最大限活かして、象徴的価値の高い要所を押さえ、支配力を誇示する。

政治学者のブライアン・クラースは、これを「バンドワゴン効果」と呼んでいる〔訳注 英語には「有利な側につく」ことを意味する、「jump on the bandwagon」という表現がある〕。将兵は、クーデターが成功すると信じたら、陰謀者たちに協力する。

クーデターを実行している人々は、この心理をうまく利用し、自分たちが勝つと将兵に信じ込ませ、それによって勝利の可能性をいっそう高めることで、独裁者を倒すことを目指す。

イギリスで政権を打倒する場合

話をより具体的にするために、イギリスで政権を打倒するところを想像してみよう。

視点の転換の第1歩として、ロンドン以外のことはいっさい無視する。クーデターは首都で起こる。それ以外は、すべて後回しにすればいい。

クーデター成功のカギは、各空港や首相官邸、議事堂、国防省、内閣府、BBCなどの主な放送局、諜報機関の本部といった主要拠点を迅速に掌握することだ。

配下の兵士たちが、言うとおりにしない人々を逮捕している間に、あなたはBBC本社で愕然(がくぜん)としている職員を強制して、新しい政府が樹立されたと、うろたえている国民に伝えさせる。その発表が行われた後は、国民が他の情報源にアクセスするのをできるかぎり難しくする。

携帯電話の無線通信ネットワークを遮断し、人々がソーシャルメディアに接続できなくする。午後6時きっかりからの夜間外出禁止令を出す。

だが、たとえこれらの措置がすべてうまくいったとしても(それは口で言うよりもはるかに難しいのだが)、いったい何が達成できたというのか?

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