独裁者が権力というランニングマシンを降りることもできずに走り続けるしかなく、権力を手放して民主化することが困難な理由
実のところ独裁者になるということは、降りられないランニングマシンの上で走り続けるようなものなのだ。彼らはその立場上、「穏やかに辞任する」という出口戦略を持ちえず、常に脅威にさらされている。
独裁者は自らを支える側近たちを飼い慣らさなければならない。そして、彼らの非道な行動の背後には、裏切りや暗殺、叛乱への恐怖がある。
今回、政権のパワーゲームという視点で独裁制を読み解く『独裁者の倒し方:暴君たちの実は危うい権力構造』より、一部抜粋・編集のうえ、お届けする。
独裁者はどのように失脚するのか?
2790人の国家支配者がどのようにして権力を失ったかを調べた近年の調査によると、権力の座を去った後も申し分なく暮らせたのは1925人(69%)で、国外に追放されたり、投獄されたり、殺害されたりしたのは、「わずか」23%ほどだった。
だがこれは、あらゆる国と政治制度を含む数字だ。掌中にほとんどの権力を集中させた個人独裁者に的を絞ると、数字は逆転し、これらの独裁者の69%が牢(ろう)に入れられたり、外国での暮らしを強いられたり、殺されたりしていた。平穏な引退生活を送れる確率は、コイン投げの結果よりも悪かったのだ。
独裁者でいるのは、けっして降りることのできないランニングマシンで走り続けるしかないようなものだ。
独裁者は、ひたすら走ることはできても、バランスを保つのがせいぜいだ。一瞬でも気が散ったら、足をすくわれ怪我をする。転げ落ち、二度と立ち上がれない独裁者も多い。そして、彼らは無事に降りることもできない。
独裁者の世界では、権力の座にとどまろうとしたら悲惨な結末を迎えかねないものの、進んで権力を手放すのはなおさら危険になりうる。




















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