独裁者が権力というランニングマシンを降りることもできずに走り続けるしかなく、権力を手放して民主化することが困難な理由

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

独裁者は、裕福になったり、その地位がもたらす権力を享受したりできるだろうと考えてランニングマシンに乗る。そして、しばらくはうまくいく。だがけっきょく、高齢になったり疲弊したりして、身を引きたくなる。そこで計画を立てる。こちらで少し譲り、あちらで少し与え、マシンを降りる。

現実には、少しばかり譲るというのはうまくいかない。少し与えれば、すべてを失うリスクが生まれる。

独裁者がいったん権力の座を離れれば、法律やりっぱな肩書や評議会での地位など、どれ1つとして何の意味も持たない。

唯一重要なのは、独裁者の後を継いだ者が、自らの権力を拡張するために前任者の権力を徐々に奪いはじめるほど強力かどうか、だ。もし、それほど強力なら、彼らは実際に権力を奪いはじめる。

ここに、解決不可能な重大なトレードオフがある。一方では、身を引こうと思っている独裁者は、権力を手放した後に自分を守ってくれるほど強力で有能な人物を見つけなければならない。その一方で、引退後の独裁者を守れるほど強力で有能な人物は、元独裁者を破滅させることもできる。

そして、後継者は現に、退任する独裁者を破滅させることが多い。なぜなら、自尊心のある独裁者なら、脇役に甘んじることは稀だからだ。

民主化するという選択肢

松明(たいまつ)を後継者に手渡そうとする独裁者は、しばしば身を焼かれる。では、地位を譲るとうまくいかないのなら、いったんランニングマシンに乗った後には、どのような選択肢が残っているのか?

権力を次の独裁者に譲る代わりに、国を民主体制に変えるというのが1つの選択肢だ。これは魅力的に思える。前の指導者が厳罰に処される可能性は、独裁国家よりも民主国家のほうが低いから、なおさらだ。

政治学者のバーバラ・ゲデスとジョセフ・ライトとエリカ・フランツが突き止めたように、民主化すると、指導者が退陣した後、「良い」結果が出る可能性が倍以上になる。

次ページ独裁者が民主化を妨害したがる理由
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事