「広陵に限ったことじゃない」「全国の強豪校を調べろ!」広陵高校の暴力事案と大会辞退があぶり出した《高校野球の闇》

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日本学生野球憲章では、「注意・厳重注意」の事案に関しては、未成年者、個人の保護の観点で公表しないとの規則があり、それに従って公表は差し控えられていた。

当事者が未成年者であることを鑑みて、一定の情報統制が行われることはやむをえないのだが、SNSやメディアで情報が漏洩した場合に、どこまで公式に情報を出していくのか――という問題がある。

広陵高校や日本高野連に対して、初動対応が不十分であったことが批判されているが、その要因として、情報公開が不十分であった点が大きい。

炎上が起きた時点で、第三者委員会の調査が進んでいること、あるいは被害届がすでに出されており、新たに発覚した事案に対してもしっかりと対応するということが表明できていれば、ここまで炎上が大きくなることはなかったように思う。

日本高野連は、広陵高校の事案を受けて「誹謗中傷」が発生していると声明を出した(画像:日本高野連の公式サイトより)

誹謗中傷行為を抑制する「唯一の方法」

2つ目の「情報公開」と3つ目の「初動対応」は裏表の関係にある。今回のような事案が発生した際には、どのような説明を行うのかを迅速に決定して、実行する必要があるが、事案が発生した後で方針を決めていては間に合わない。

4つ目の「誹謗中傷」に関しては、残念ながら現時点では十分に対処する方法はない。過度な誹謗中傷行為を行っている人に限定しても、個人を特定して罰することは容易ではないからだ。

主催者である日本高野連と朝日新聞社は、SNSでの炎上を受け、8月4日に誹謗中傷・差別的言動に対する表明を出し、「法的措置を含めて毅然とした対応をとっていく」と強調したのだが、逆にこの表明が「責任を転嫁している」として批判を浴びてしまった。

やはり、現時点では、事後対応を行うのではなく、迅速に適切な情報公開と説明を行い、批判や誹謗中傷行為を抑制していくということが最も有効であり、逆にそれくらいしか方法がない。

次ページ五輪においても、SNSでの批判や誹謗中傷行為は過熱
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