フランスはユーロ圏にとってお荷物なのか 構造改革の行方次第では沈滞脱出に貢献も

✎ 1〜 ✎ 162 ✎ 163 ✎ 164 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
フランス経済はユーロ圏のお荷物か切り札か? ( 写真:Iakov Kalinin / PIXTA)

フランス経済が世界的な論争の的になっている。左派の見方では、フランスは手厚い給付制度と強い労働組合のおかげで、包括的な福祉国家を実現している。しかし、右派の見方では、必要以上に大きくて介入ばかりする政府は長期的な衰退を招く原因でしかない。現状を見るかぎり、右派が正しいように思える。

かつてフランス経済は、ドイツとほぼ拮抗していたが、この10年間に大きく水をあけられ、1人当たりGDP(国内総生産)は約10%低い。経済規模はドイツの約4分の3だ。

現時点でフランス経済の好転を確信している人は、まずいない。しかし幸いなことに、フランスは見掛けほどフランス的ではない。確かに週35時間労働制はあるが、ほとんどの労働者の1週間当たり労働時間は、実際39時間に近いだろう。

Uber規制が示す産業政策の転換

フランスは、配車サービスの米ウーバー(Uber)を規制しようとした。Uberのビジネスモデルは、この10年間で最も斬新かつ重要な進歩の一つであるにもかかわらず、労働組合の圧力に屈した。この規制は、タクシー運転手の労組にとっては勝利であり、乗客とUberの運転手にとっては悲劇であった。ただし一方で、潜在性が高い技術系の小規模企業の育成をフランスが重視し始めた、という側面もある。

1970年代の絶頂期には、政府は高速鉄道とエアバスに巨額の資金を投じたが、今では国家主導の大規模プロジェクトにすべてを賭けているわけではない。労働市場と製品市場に必要な構造改革の実現に向け、オランド大統領はマクロン経済相に幅広い裁量の余地を与えている。

次ページ大きすぎる政府の功罪
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事