離陸間近「ホンダジェット」に死角はないか ボーイング超える年商が他社には脅威だ

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──ビジネスジェット機の将来性は大きいのですね。

そう。現在、ビジネスジェットは1万9000機が飛んでいる。うち7割近い1万3000機が米国の保有。残りのうち2割が欧州、アジアも増えてきて1割近い。2014年のビジネスジェット機の市場規模は約2兆6300億円だった。うち5割超を米国が占めている。

航空機の需要予測は20年後が基本的なメドとなる。注文を取って開発し納品するまで長いからだ。今、ビジネスジェット機の20年後の登録台数は4万6000機とみられている。現状の2倍を上回る。年率で4~5%の伸びという計算だ。

日本でビジネスジェットが普及しないのはなぜか

前間孝則 まえま・たかのり/1946年生まれ。石川島播磨重工業(現IHI)でジェットエンジンの設計に20年余従事する。88年に同社を退職、執筆活動に入る。著書に『なぜ、日本は50年間も旅客機をつくれなかったのか』『YS-11?─国産旅客機を創った男たち』『飛翔への挑戦?─国産航空機開発に賭ける技術者たち』など。ホンダジェット新潮社1600円+税/315ページ

──日本では?

ビジネスジェットは90機程度。自衛隊機や公用機がほぼ3分の2で、民間機は30機ぐらいではないか。欧米のビジネスジェットは頼んだ当日に発着ができる。機内で税関チェックを受け駐機場からすぐに目的地に出入りできる。今の日本では考えられない。欧米はそれで普及している。日本での普及は大幅な規制緩和なしでは厳しい。

──三菱リージョナルジェット(MRJ)とは競合しない?

ジャンルが違う。直接的には競合しない。MRJはまさにリージョナルジェットであり、80人近くが乗れる。ホンダジェットの場合は定員7人のベリーライト・ジェットと称している。MRJの開発も相当なリスクを負っているが、経済産業省はYS11での寄り合い所帯の反省を踏まえて、三菱重工業1社に任せ、補助金をつぎ込んだ。

──ホンダは独自にリスクを取っての開発ですね。

航空機大手・ボーイングの首脳が小生の取材に、「ホンダは、ボーイングやエアバス、それにMRJのように200機、300機の注文を取って始める従来の開発方式ではない。自動車事業と同様に自らの開発リスクで造り売る。民間機製造で従来採っていない方式だ」として、そういう形で市場を切り開いていく存在は怖いと言っていた。

ボーイングの年商11兆円に対し、ホンダは12兆円。ボーイングは民間機が半分、軍用機ほかも造っている。ホンダの強みは自動車で着実に利益を上げていることで、そのカネをジェットに投入できる。その母体の安泰ぶりが脅威に映るようだ。

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