年金保険料を払わないとあなたは必ず損する 年金の「誤解」、教えます!

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最近では東芝の不適切会計問題もありましたが、だからといって東芝の製品はどれも悪いかと言えば、そんなことはありません。組織の不祥事とはまた別の問題です。人間は何かひとつよいことがあると、全面的に賞賛してしまいがちになることがあり、これを行動経済学では「満足化」と言います。

逆に、何かひとつ問題があると、そのほかのものもすべて悪いと感じてしまうのです。年金については、まさにこのパターンと言えるでしょう。

ところが、世間で言われているほど、公的年金というのは頼りないものでも悪いものでもありません。よく話題に出る、公的年金に関するさまざまなウワサについて実際のところはどうなのかを、考えてみましょう。

公的年金は赤字、は本当か

まず、最もよく言われるのが「公的年金は赤字だ!」ということです。どういう状態のことを赤字だと言うのかにもよりますが、仮に年金の支払いが賄えなくて、借金して支払っているという意味であるとすれば、年金は赤字というわけではありません。赤字なのは国の一般会計です。赤字だからこそ毎年国債を発行して支出の穴埋めをし、その借金の合計が1000兆円以上もあるのです。

年金の場合はどうかと言えば、借金どころか貯金が180兆円余りあります。これが年金特別会計です。ご存じのように日本の年金制度は単年度決済で、毎年入ってくる年金保険料が年金を支払う原資になっています。ところが昔と違って、今は高齢者の割合が多くなってきたために、年金自体の毎年の“入”と“出”で言えば、“出”のほうが多くなっています。

毎年の収支ということで言えば、これは確かに赤字です。でも今までの貯金がありますから、赤字と言っても国の一般会計と違ってすぐに借金する必要はなく、貯金を下ろしていけばいいのです。現実に毎年この貯金の中から5兆~6兆円ぐらいが補塡されています。

もちろん、何もせずにただ貯金を取り崩していくだけなら、いつかは蓄えがなくなってしまいます。そこでこの貯金が減らないようにするために、年金の積立金を運用して増やしています。ところがこの年金の運用にも、どうやら誤解があるようです。

GPIFは大丈夫か?

公的年金の運用は「年金積立金管理運用独立行政法人」というところが行っています。長い名前なので、一般的には英語名の頭文字をとってGPIFと言われており、最近はこの運用改革が話題になっています。

このGPIFが年金積立金を自主運用し始めたのが2001年ですが、2014年末までの13年間で上げた利益の累計額は47兆円あまりあります。ここ数年の年度別に見ても、リーマンショックのあった2008年度こそ年間で9.3兆円ぐらいのマイナスが発生していますが、2009年度から昨年度までの5年間では、2010年度に3000億円のマイナスを出した以外は、毎年プラスの利益となっています。

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