ドラッグストアなどリアルのプレーヤーは、ECの厳しさを理解していない--後藤玄利・ケンコーコム社長(第4回)

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今日明日にでも欲しいという要求に応えようと思ったら、全国に何カ所も物流拠点が必要になる。1カ所造るのにも何億円とかかるので物流投資だけでもけっこうな額になります。スピードを競うなら在庫を持つための投資も必要になる。さらに投資した分の注文を獲得するには商品の量を確保しなければいけません。

ECで成長していくには、投資してサービスレベルを上げ、再投資するというかなり大きな投資サイクルを回していかないといけないんです。それをマネージしていくのは非常に大変なことなんですが、それでもここのマーケットは将来性があるのでみんなしのぎを削っている。
 
 現に当社もアマゾンさんも相当な投資をしており、既存の会社はみんな我慢大会のようなパワーゲームを展開しているわけです。ECがそういう世界だということをリアルのプレーヤーは多分理解していません。

--医薬品のネット通販を規制した09年改正薬事法の影響はありますか。

日本のEC業界では、アマゾンと楽天による寡占化が起きています。こうなることはもともと予見していたので、彼らが提供するユニバーサルなサービスにはできないような特殊な部分でシェアをとろうと思っていました。最たるものが医薬品の販売です。
 
 しかし、ここに特化することを国からダメだと言われてしまった。改正薬事法によって09年6月からネットでの医薬品の販売は第3類に限るとの規制がかかり、以降、月に6000万~7000万円の売り上げが消えています。

この改正薬事法は理不尽な点がたくさんあり、改正に至るまでの過程で楽天の三木谷浩史さんや僕はおかしいと相当訴えてきたのですが、結局押し切られる形で施行されてしまいました。当社はウェルネットさんとともに国を相手取って医薬品ネット販売規制に反対する行政訴訟も起こしました。現在、一審の敗訴を不服として控訴しています。

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