今は利益よりも、成長を目指すべき時期だと思います--後藤玄利・ケンコーコム社長(第3回)

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今は利益よりも、成長を目指すべき時期だと思います--後藤玄利・ケンコーコム社長(第3回)

--今年3月に中国の大手ドラッグストアチェーンの老百姓大薬房(LBX)と合弁会社を設立しました。

中国で卸とECを展開していきます。中国の成長率は8%といいますが、中でもECの成長率は倍々で伸びている。固定電話が普及する前に一足飛びで携帯電話やスマホが普及したように、多分それと同じことが流通にも起こるだろうと思っています。

今、中国では車を持つ人が増えて渋滞が起きていますが、すべての家庭に車が行き渡っているわけではありません。インフラが追いついていない状況なんです。日本はある程度時間をかけて経済発展していったので、道路などのインフラが整い車が普及したあとに大型のロードサイド店ができていきました。
 
 一方、中国では昔からお店といえば街中のパパママストアです。車がちゃんと普及する前にスマホが普及してしまったので、今後おそらく大型店は日本のように増えることはなく、流通は一足飛びでECが中心になっていくでしょう。

その中で、われわれは培ってきたECのノウハウを注入し、LBXのインフラやネットワークを活用して中国のローカルビジネスをつくっていこうと思っているのです。資本金はLBXが55%、当社が45%ですが、マネジメントを行う人間もこちらから出すということで、総経理には当社の副社長が就任しました。

--なぜLBXを選ばれたのですか。

中国で行われたワールド・エコノミック・フォーラムのテーブルで隣に座った人がたまたまLBXのダイレクターだったんです。ほかの会社も検討しましたが、結局マネジメントの透明性の高さが決め手となってLBXと組むことになりました。LBXには6割くらいヨーロッパのファンドが入っています。ヨーロッパのファンドとローカルの合弁なので、LBXは純粋な中国の会社よりもかなり経営の透明性が高いんです。

--2012年3月期のケンコーコムは、売り上げが伸びたにもかかわらず赤字の予想です。営業利益ベースで見るといつ頃に黒字に浮上できそうですか。

中国の事業は完全な投資なので今期の決算にも影響しましたが、早ければ12年3月期の第4四半期、遅くとも13年の第1四半期で回復すると考えています。通年で13年3月期は黒字になると思いますが、環境が許せばまだ赤字でも構わないと思っています。

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