上場しているので株主の目もありますし、成長のスピードと利益べースをどう確保するかという兼ね合いは難しい。しかし、今は圧倒的に成長すべき時だと思っています。トップラインを重視し、とにかくシェアをとりたい。
なぜならECの世界は各カテゴリーの中で最後的にはナンバーワンしか生き残れないからです。たとえばアメリカのアマゾンは、初めは戦略的に投資を行い赤字でした。成長を優先し、本の世界で圧倒的なポジションをとってから利益を出し始めました。これがECの成功パターンだと思います。
現在EC全体の平均成長率は十数%くらいですが、中でもヘルス&ビューティ市場の成長率はまだ高く、将来大きなマーケットになると予見されています。今後何千億円、1兆円を超えるECのマーケットがあるんだとすれば、リーディングカンパニーは千億~数千億円超えの売り上げを狙えるはずなんです。
まずはそのポジションになってあとから利益を出せばいい話。マーケットが成長しているごくごく初期の今、利益を出すことに汲々として成長率を落とすことはいいことだと思ってはいません。
現在当社はヘルス&ビューティ市場のマーケットリーダーではありますが、当社の成長率が低くなっていけば当然シェアは落ちていきますし、あるいは2番手以下のプレーヤーが高い成長率で伸びてくればマーケットリーダーとしてのポジションが失われてしまいます。
われわれは、ここの椅子取りゲームをしているわけですが、今後、特に今年はいろいろなプレーヤーが相当な勢いで本格的に参入してくるでしょう。すでにアマゾンさんや爽快ドラッグさんなどがいるうえ、ネットスーパーが生鮮だけでなくわれわれと一部カブるような形で入ってくるかもしれません。マーケットの牽引者がどこになるのかという問題と短期的利益とを比較すれば、今は前者が重要なのです。
ごとう・げんり
1967年2月大分県で80年の歴史を持つ地場の製薬会社の創業家に生まれる。89年3月東京大学教養学部基礎科学科第一卒業、同年4月アンダーセンコンサルティング入社、同社の戦略コンサルティンググループ設立メンバー。94年うすき製薬取締役、同年11月ヘルシーネット(現ケンコーコム)設立、代表取締役就任。97年うすき製薬代表取締役(01年より取締役)、2000年5月ケンコーコムを立ち上げ。
(撮影:梅谷秀司)
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