「広陵はなぜ辞退しない?」「夏の甲子園はもう限界」開幕早々、批判が“Xトレンド入り”の高校野球…“ネットのおもちゃ”となった必然

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さらにそれ以外の経済効果も、重要なポイントの1つ。各出場校の経費は地域や勝ち進み方によるものの、1000万円から1億円以上とも言われています。同時に出場校の所在自治体は特に盛り上がり、地元経済への貢献も高いことから、よほどのアクシデントなどが発生しない限り継続が前提になっていくのでしょう。

そしてもう1つ継続の大きな理由となっているのは、出場校の営業的なメリット。

甲子園大会に出場することで野球部はもちろん吹奏楽部、チアリーディング部、さらにアルプス席での応援が目的の生徒も含め志望者が増えます。つまり学校の知名度や人気のアップに貢献できる最大のイベントが甲子園大会であり、ビジネス的な観点から野球部の強化を進めている高校が少なくありません。

厳しい目線の背景に「甲子園大会の“特別扱い”」

ここまで「甲子園大会がいかに特別なイベントで、だからこそビジネスとしてのうまみがあり、変えづらくなっているか」などをあげてきました。

その特別なムードを作り上げている要因は、満員の大観衆、全試合生中継、地元の大応援、進路への好影響など多岐にわたります。いずれもほぼ高校野球だけのものであり、他の部活動や小学校・中学校・大学でこれほどのものはないでしょう。

いわば、多くの部活動やイベントがある中、甲子園大会だけが特別扱いを受けていて、だから不祥事対応や猛暑対策にも厳しい目が向けられやすいところが見受けられます。

昭和時代から、野球は相撲と並ぶ国技として見られてきました。子どもの好きなものを示す「巨人、大鵬、卵焼き」という言葉があったほか、連日ゴールデンタイムでプロ野球中継を生放送。甲子園大会だけでなく、野球そのものが人気を背景に特別扱いを受けていた感がありました。

しかし、時代が平成・令和と移り変わる中、プロ野球中継はゴールデンタイムから消え、有料配信のDAZNなどで見るという形が定着。万人が楽しむものから好きな人が楽しむものに変わりました。

一方で、高校野球の放送形態などは昭和時代からあまり変わっていません。野球以外のスポーツやカルチャーへの注目度が増し、「大谷翔平選手のことはよく知っていても野球のルールはわからない」という若者が増える中、それでも特別扱いが続いていることで、問題発生時の目線は厳しいものになっているように見えます。

次ページ人々は平等を求める時代に
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事