「広陵はなぜ辞退しない?」「夏の甲子園はもう限界」開幕早々、批判が“Xトレンド入り”の高校野球…“ネットのおもちゃ”となった必然

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では猛暑の中、甲子園での大会にこだわる理由は何なのか。それは継続を前提とする保守と経済的なメリットの2点でしょう。

まず「甲子園大会」というブランドは、プロのイベントを含めても、歴史・開催期間・参加者数・盛り上がりなど、さまざまな点で国内最高峰。

「影響力の大きさを保っているため、できるだけ形を変えずに継続していく」ことが前提であり、大会形式の調整ならまだしも、場所や時期などの変更は受け入れづらいというスタンスが感じられます。

一方、経済的なメリットに関しては、各所の思惑が絡み合うような複雑な状態。観客の入場料だけで数億円の利益をあげながら、学生の大会である以上、特定の企業・団体が莫大な利益を得ることはありません。

まず主催の日本高野連と朝日新聞社は、阪神電鉄が所有する甲子園球場の使用料支払いが無料。中継局のNHKとABCからも放映料を得ていないなど、大幅な利益を得るような商業利用が避けられてきました。

また、日本高野連は非営利の公益財団法人のため、内部留保こそあるものの、基本的に誰かが稼ぐことは難しいようです。

主催側の球場使用料や中継局の放映料が無料。それでも朝日新聞社は新聞の販売促進になり、阪神電鉄は鉄道利用者からの収入を得られ、NHKもABCも放送のメリットがあり、選手も高校野球ファンも甲子園を特別視しているなどの複合的な背景が、継続前提の保守につながっている感があります。

そのため「現状をキープしたほうがいい」「ブランドが下がるかもしれないことは避けたい」というスタンスになりやすいのでしょう。

自治体や出場校への経済効果は抜群

ちなみに今大会のチケット代は、8月5日〜10日までの2部制の半日チケットだと、中央指定席が2500円、1・3塁指定席が2000円、アルプス席が1000円、外野指定席が500円と、大会規模を踏まえると依然として安価な設定をキープ(11日以降は、それぞれが約2倍の価格になる)。

もしドーム球場などに移転したら球場使用料などのバランスが崩れ、値上げの可能性もありそうです。

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