「広陵はなぜ辞退しない?」「夏の甲子園はもう限界」開幕早々、批判が“Xトレンド入り”の高校野球…“ネットのおもちゃ”となった必然
もう1つの問題である猛暑への批判は、ある意味で不祥事よりも複雑かつ根深いものに見えます。
そもそも今大会は暑さのピークを避けるために、午前と夕方の“2部制”を2024年の3日間から6日間に倍増。さらに開会式も史上初めて夕方から行い、開幕戦もナイター開催に変更されました。
それ以外でも、第2試合が13時30分、第4試合が22時を超えたら翌日以降の継続試合に移行、5回終了時に冷房の効いたスペースでのクーリングタイム、試合前ノックの選択制と短縮、飲料やアイススラリー、経口補水液、補食の提供、医師・看護師の準備などの猛暑対策が施されています。
審判、応援団、観客などへのケアも含め、猛暑対策が年々強化されていることは間違いありません。
さらに出場校もアンダーシャツや帽子などを黒などの濃い色から白などの薄い色に変えたり、試合前後の練習を効率化したり、塩分補給と栄養管理を徹底したりなどの猛暑対策を進めています。

なぜ「甲子園での開催」にこだわるのか
ただ、ここまでやっても猛暑対策が十分ではないことは、相次ぐ負傷からも明白でしょう。
くしくも選手宣誓に「自然環境や社会の状況が変化していく中で高校野球のあり方も問われています」というフレーズがあったように、選手たちもそのリスクや逆風を感じているようです。
「高校生活のすべてを甲子園にかけてやってきた」という選手たちの思いや、チームメイトとの絆、懸命なプレーなどに疑いの余地はないでしょう。しかし、最も守られるべきは選手を筆頭に監督やコーチ、応援団、観客、運営スタッフらの命であり、万が一の事態を避けるために「涼しいドーム球場での開催」を求める声が増えています。
選手たちが「憧れの甲子園でプレーしたい」という強い思いを抱くのはいつからなのか。中学生が高校入学後の甲子園を夢見るのなら彼らの思いを尊重して3年後にドーム球場へ変更する。
一方で小学生の野球少年には「君たちは安心安全なドーム球場を目指そう」と早くから予告しておくなどの配慮は可能でしょう。
「子どもたちのために甲子園から変更できない」というのはどう見ても大人の建前であり、本当の理由は他にもあるように見えてしまうのです。
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