6年ぶりに再上映「この世界の片隅に」舞台地の《広島・呉》が美しすぎた…いま、“意外な作品”の聖地としても盛り上がっている

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この作品の制作は、こうの史代さんの原作をアニメーション映画にしたい、という片渕須直監督の熱い思いからスタート。こうのさんの快諾を得て、まずは宣伝などの盛り上げを目的としたパイロット・フィルムを作るためのクラウドファンディングが実施されました。

瞬く間に目標金額の2000万円を超え、完成した5分間のパイロット・フィルムのお披露目上映会には、筆者も同席しました。たった5分のフィルムでも、本作に描かれている片渕監督の思いが感じられ、感動したことを覚えています。

こうして完成したパイロット・フィルムがパブリシティとして功を奏し、スポンサーが集まって製作委員会が組織されました。

満を持して製作された本編が公開されると、いわゆる「反戦映画」とは一線を画す作品ということで、海外も含めて高い評価を受けたのでした。作品全体で、当時の何気ない日常や生活が、片渕監督による徹底した綿密な取材によってよみがえり、あたたかい感動を呼ぶ作品となっています。

地元の広島フィルム・コミッションでは、呉市と共同制作で、公開当時、片渕監督監修のお手製「ロケ地マップ」を制作し、配布。5000部ほどしか作っていなかったマップは、映画のヒットとともにあっという間に在庫がなくなってしまった、とのことです。

この世界の片隅に
1940年代の呉の街並みが作中で再現されました(画像:映画『この世界の片隅に』公式サイトより)

「すず」の生まれた場所、広島・江波

さて、「すず」の実家があったのは広島市内の江波地区にある海苔すき屋さんという設定です。

広島市は、太田川の下流である「太田川デルタ」を中心に、市内の南北に6本の河川が流れ、80の橋が架かる「水の都」。そんなデルタの河口部にあり、広島湾に面した港町だったのが江波地区です。

広島
すずが生まれ育った、「水の都」江波地区(筆者撮影)
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