「60代女性の頭皮のにおいを嗅いだ瞬間…」《臭気判定士》下水管、靴下、わきの下──あらゆる異臭・悪臭を約30年嗅ぎ続けた仕事のリアル

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そんな石川さんには、もうひとつの顔があります。なんと、小説家としても活動しているのです。

「高校生の頃から、小説を書くのが夢だったんです。若いころはいろんな投稿サイトにちょこちょこ書いていました。そうしたら昨年、あるサイトから声がかかって、1年かけて連載を書くことに。毎月2万5千〜3万字ですから、年間で30万字ほど。文庫本の上下巻くらいになりますね。今の仕事をしながらだったので、本当に大変でした」

“職業ライダー”から未経験でにおい業界に入るまで

そもそも石川さんは、なぜこの“におい業界”に入ったのか。そのきっかけもまた、なかなかユニークです。

若い頃の夢は、なんとプロのバイクレーサー。その夢が捨てきれず、20代は新聞社の原稿をバイク便で運ぶ“職業ライダー”として生計を立てていたと言います。

「結婚して、“さすがにこのままじゃいられないな”と思っていた時に、友人から“人を探している業界がある”と紹介されまして。その友人のお父さんが、におい業界の偉い方だったんですよ。そのご縁でまったくの未経験から滋賀県の臭気測定器材メーカーに就職し、先ほど語ったようなキャリアがスタートしました」

人生の節目で訪れた偶然の出会いを掴み取り、新たな道を切り拓いてきた石川さん。彼の“嗅覚”は、においだけでなく、人生のチャンスを嗅ぎわける力にも繋がっているのかもしれません。

語る石川英一さん
「臭気判定士で生計を立てていくようになるだなんて夢にも思わなかった」と石川さん(撮影/梅谷秀司)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事