モリタ「EV消防車」に見た消防の「理想と現実」とは? 大阪・関西万博「消防センター」で聞いたエンジン車と違う意外なメリット

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大阪・関西万博「消防センター」に配備された消防車両(写真:モリタホールディングス)
大阪・関西万博「消防センター」に配備された消防車両(写真:モリタホールディングス)

「なるほど、EVって消防車にこんなに上手くフィットするんですね」

5月に開催されたEVの世界選手権「フォーミュラE」の東京大会「東京E-Prix(イープリ)」の会場で、「EV消防ポンプ自動車」の車両展示をたまたま見つけ、同車両出展者のモリタホールディングス関係者と立ち話をして、そう感じた。

同社は消防車両の国内シェア約6割という業界最大手だ。

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近年、能登半島地震や各地の豪雨災害、そしていつ発生してもおかしくないとされる南海トラフ地震など、消防への取り組みに世間の注目が集まることが多い。

激甚化や頻発化が進む災害に対して、消防は今後、どう変わる必要があるのか。

EV化のみならず、災害の現場でのDX(デジタルトランスフォーメーション)など、「未来の消防」がどうなっていくのかという素朴な疑問を持ち、取材の準備を始めた。

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大阪・関西万博「消防センター」へ赴く

まずは、消防の“現在位置”を知ろうと、東京消防庁の消防博物館(東京都新宿区)で江戸時代の「火消し」から近代の消防車や消防服などへの進化を感じながら、日本における消防の歴史を振り返った。

「消防博物館」で見た消防服の変化(筆者撮影)
「消防博物館」で見た消防服の変化(筆者撮影)

また、ネット上で情報を集めていくと、総務省消防庁の「令和6年版 消防白書」に「消防防災分野におけるDXの推進」や「新技術の進展を踏まえた消防防災行政の対応」といった特集を確認できた。

直近では、総務省消防庁が有識者による検討会として、6月5日に「消防技術戦略会議」を発足させている。

そのうえで、最新消防技術を実感できるのは、大阪・関西万博の消防センターであることが分かった。日本で初めて、EV消防ポンプ車が実配備され、さらに実証実験を行うため、EV指揮車のコンセプトモデルなど各種車両展示が導入されているという。

そこで、日本国際博覧会協会に取材を申請。大阪市消防局と連携して万博消防センターを起点に実証試験を行っているモリタホールディングスに協力していただき、「未来の消防」の可能性を万博の現場で考察した。

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