モリタ「EV消防車」に見た消防の「理想と現実」とは? 大阪・関西万博「消防センター」で聞いたエンジン車と違う意外なメリット

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大阪・関西万博の東ゲートを入り左手の奥に進むと、関係者のみが入場できるエリアがあり、その中に消防センターがある。

最初に、大阪市消防局 企画部 消防制度担当副課長で、消防司令長の髙井伸一氏から大阪・関西万博会場での消防・救急の対応について話を聞いた。

大阪・関西万博で取材に答えてくれたモリタホールディングスと大阪市消防局のスタッフ(筆者撮影)

髙井氏によれば、約155haの万博敷地内に、24時間常駐の「万博消防センター」があり、消火隊、救助隊、指揮隊、救急隊、そして高所活動車が配備されているという。

また、西ゲート詰所に消火隊と救急隊、東ゲート詰所と中央詰所に救急隊が移動配備され、それぞれに診療所が併設されており、開場時間帯の9時〜22時で運用しているそうだ。

万博消防センターの組織としては、大阪市消防局 此花(このはな)消防署が管轄する。人員は、毎日勤務者と隔日勤務者など、合計50名程度を配置。

大阪・関西万博には、4月13日の開幕から当該取材日までの約3カ月間で、約1000万人が来場しているが、消防として対応した事案は1件のみだという。来場者の荷物の中にあったモバイルバッテリーの発煙に対処したものだ。

一方、救急では、熱中症などの体調不良に、1日あたり5件程度対応しているそうだ。

「eキャンター」ベースのEV消防ポンプ車

では、実証実験として配備されている最新消防車両を見ていこう。最初に、「EV消防ポンプ車」だ。

三菱ふそう「eキャンター」をベースとするEV消防ポンプ車(写真:モリタホールディングス)
三菱ふそう「eキャンター」をベースとするEV消防ポンプ車(写真:モリタホールディングス)

消防の現場で配備されたEV消防ポンプ車は、同社以外を含めて日本初。東京E-Prixで展示したのは1号車で、モリタホールディングスが所有し、研究開発や広報に活用している。

ベース車両は三菱ふそうの「eキャンター」で、モリタホールディングスが大阪市消防局と協議して仕様を決めた。車体寸法は全長6070mm×全幅2230mm×全高3050mm、車両総重量は7485kg。

バッテリーの電気容量は82kWhで約2時間のポンプ駆動、つまり放水が可能だ。

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