モリタ「EV消防車」に見た消防の「理想と現実」とは? 大阪・関西万博「消防センター」で聞いたエンジン車と違う意外なメリット

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現状のように消防車両の仕様の違いが大きくても、消防車両からの各種データを各消防本部で共有できるデータプラットフォームの標準化は、できるだけ早く実現させるべきだろう。

EV指揮車の車内に設置されるシステム(筆者撮影)
EV指揮車の車内に設置されるシステム(筆者撮影)

むろん、災害現場では電力や通信インフラが途絶える可能性もあり、その場合は従来型のアナログ方式でバックアップすることが想定されるのは当然だ。

そして、充電インフラを含めた社会インフラにおける、消防車両や緊急車両の在り方を再定義する必要もある。

「地域の未来」のために

筆者はこれまで、地域交通の在り方について国内外で取材し、また国内でさまざまな会議体に参加して議論を重ねてきた。

そのうえで、最も大事なことは、地域住民や市町村職員が「地域の未来」を私事として捉えることだと痛感している。

三田工場の敷地内で実動テストなどを行っている様子(筆者撮影)
三田工場の敷地内で実動テストなどを行っている様子(筆者撮影)

地域が支えることが基本である「消防の未来」は、「地域の未来」に直結する。

今回取材した、大阪・関西万博消防センターでの試みは、「消防の未来」を見える化した点で大きな意義があるだろう。

これから期待したいのは、「消防の未来」を早期に実現するために必要な規制緩和や業界常識の見直しなどを、国が主導して行うことだ。例えば、ライドシェアの議論で注目された規制改革推進会議の活用が考えられる。

さらには、政府が設置を目指す「防災庁」による、消防データプラットフォームの一元管理体制ができることも望まれる。「消防の未来」に向けた日本の歩みを、今後も取材していく。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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