今では全国の鉄道で当たり前の存在となっている、銀色のステンレス製電車。1950年代から採用していた鉄道もあったが、本格的に広まったのは80年代以降だ。全国の鉄道各社が相次いで導入し、銀色の電車は瞬く間に日常風景となった。
そのころステンレス車両の導入を始めた鉄道の1つが東武鉄道。同社初のステンレス車両は、81年に東上線に登場した「9000型」だ。地下鉄との相互直通運転に備えて導入し、93年までに10両編成8本が造られた。2023年に引退した最初の1本を除き、いまも7本が地下鉄有楽町線や副都心線直通列車などでバリバリの現役だ。
東武初のステンレス車両
東武のステンレス車両は、銀色の車体の窓下に「ロイヤルマルーン」と呼ぶ赤茶色の帯が入っている。このデザインの始祖が9000型だ。
9000型は試作車として1本目の「9101」編成が81年に登場し、しばらくの間は東武唯一のステンレス車両だった。当時の東上線は肌色のような「セイジクリーム」色の電車の時代。黒っぽい屋根とクリーム色の車体から「カステラ電車」と親しまれた旧型車両7800系もまだ走っていた。
そんな中に現れた銀色の電車はかなりのインパクトがあったようだ。東武鉄道車両部車両企画課主任の泉川友彦さんは、当時中学生。「床が木製のナナハチ(7800系)が堂々と走っていた時代、本当にピカピカの車両が登場して、東武はすごい車両を入れたなとびっくりした」とそのころの思い出を語る。


















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