9000型は、試作車の9101編成が81年に登場した後、導入の目的である地下鉄有楽町線との相互直通運転が始まる87年までは1本だけの存在だった。
同年に有楽町線乗り入れに向けて、試作車から得た結果を反映した量産車の9102~9107編成が6本登場。その後、93年にもう1本の9108編成が増備され、全8本の陣容となった。
「銀色にマルーン帯」が新世代の顔に
この間に、東武は地下鉄に乗り入れない地上線用の車両として、ステンレス車両の「10000型」(83年登場)や「10030型」(88年登場)などを東上線や伊勢崎線などに大量投入。伊勢崎線の地下鉄日比谷線直通車両もステンレス製の「20000型」に置き換えた。
いずれも銀色の車体にロイヤルマルーンの帯を入れた9000型と同じカラーリングで、このデザインは97年登場の「30000系」まで引き継がれ、東武の通勤電車の新たな顔となった。
9000型はその用途のため東上線にしか存在せず、全部で8本・計80両と、巨大私鉄の東武の中では少数派。同じ車体で制御システムの違う9050型を含めても10本のみだ。だが「少ないのにバリエーションが多いのが9000型の特徴」と泉川さんはいう。車体の基本的なデザインは変わらないが、細かい部分が異なるのだ。


















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