9000型の歴史で大きな転機となったのが、2008年に始まった地下鉄副都心線との相互直通運転だ。前年から直通に対応するための工事を実施し、その際に車内もリニューアルした。
副都心線はATO(自動列車運転装置)を使用するため、乗り入れる車両も装置を取り付ける必要がある。このためのシステムを車両に搭載し、運転台の機器類も大幅に変更。もともとは加速のためのマスコンとブレーキのハンドルが別々の2ハンドルだったのを、現在の新車と同様のワンハンドルマスコンにした。
「ATO」試運転の思い出
車両企画課主任の泉川さんはこの当時、技術助役として9000型の検査や試運転にあたった。とくに忘れられないのは、ATO装置を搭載した後の初の試運転の添乗だという。東武線内ではATO装置の試験ができなかったため、試運転は東京メトロ線内で行った。「試運転はたくさん経験してきたが、他社線内では初めて。一番緊張した試運転だった」と話す。
「運転士がボタンを押すと出発してカーブに入れば減速、直線に入れば自動で加速。和光市駅から地下に入って、最初の地下鉄成増で駅にピタッと止まったときにはびっくり。ドアを開いて停止位置を確認するんですが、本当にぴったりで感動しました」。さまざまな準備を重ねて実施したATOの試運転の緊張感と達成感は今も忘れられないという。


















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