東急田園都市線「衝突事故」を招いた10年前のミス 「ATC完備」なのに…万全なはずの安全対策に死角

渋谷駅の地下に乗り入れる首都圏の大動脈が、ほぼ丸1日不通となる異常事態が起きた。
10月5日の夜11時過ぎ、東急電鉄田園都市線の梶が谷駅(神奈川県川崎市)構内で発生した衝突・脱線事故。所定の位置からはみ出して停車していた回送列車に渋谷行きの各駅停車が衝突し、回送列車の一部車両が脱線した。幸いけが人はなかったものの、事故調査や復旧に長時間を要し、全線の運行再開は約24時間後の6日深夜となった。
10年前の「設定ミス」
梶が谷駅は渋谷から約12km、川崎市高津区の住宅街に位置する。下り方面となる南西側には、同線と直通する大井町線の車両を留め置く車庫や、列車の折り返しなどに使う引き込み線がある。
事故は5日午後11時04分、この引き込み線と上り線(渋谷方面行き)が交わるポイント付近で発生。本来の停止位置から上り線側にややはみ出した状態で引き込み線に停車していた回送列車(10両編成)に、上りの渋谷行き各駅停車(10両編成)が衝突した。
同線は、衝突や速度オーバーなどを防ぐATC(自動列車制御装置)を導入している近代的な路線。故障などで不通となるトラブルはあったものの、列車同士の衝突事故はこれまでになかったという。
事故の原因は、約10年前のある「設定ミス」だった。
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