東急田園都市線「衝突事故」を招いた10年前のミス 「ATC完備」なのに…万全なはずの安全対策に死角
事故直後から田園都市線は全線でストップし、翌6日は梶が谷駅を含む鷺沼―渋谷間が始発から運転を見合わせた。中央林間―鷺沼間は本数を減らして運転したものの、都心部寄りのおよそ半分の区間が不通という異例の事態に。同線と相互直通する東京メトロ半蔵門線にも影響は及んだ。
また、東急大井町線も田園都市線と並行する溝の口―二子玉川間で運転を見合わせたほか、二子玉川―大井町間も大幅に本数を減らしての運転となった。

車庫から車両が出られず
大井町線や半蔵門線にまで影響が及んだ理由は「車庫から車両が出られなかったため」(東急電鉄)だ。大井町線と半蔵門線の車庫は鷺沼にあり、田園都市線の不通によってここから車両が各線まで出られなかった。田園都市線が鷺沼―渋谷間で運転を見合わせたのも同じ理由で、長津田にある車庫から車両が渋谷方面に出られなかったためだ。
利用者からは、「せめて二子玉川や溝の口で折り返しできないのか」との声もあったが、東急電鉄によると折り返し自体は可能なものの「どちらかというと車両の本数が足りなかった」(佐藤嘉一常務)という。
6日は朝から振替輸送を利用する乗客で周辺の各線が混雑。バス乗り場にも長蛇の列ができた。事故現場となった梶が谷駅には改札前に「全線での運転再開の目途は立っておりません」と張り紙をした看板が立ち、駅員はひっきりなしに訪れる利用者らの対応に追われていた。
駅の様子を見に来た、付近に住むという40代の会社員男性は同日がたまたま休み。「事故が起きた昨日(5日)の夜、溝の口駅はタクシー乗り場がすごい列だった。明日は動いてくれればいいですが……」と、復旧の状況を心配している様子だった。

無料会員登録はこちら
ログインはこちら