東急田園都市線「衝突事故」を招いた10年前のミス 「ATC完備」なのに…万全なはずの安全対策に死角
国の運輸安全委員会は6日、現地に調査官を派遣。午前11時ごろから調査を開始した。夕方に報道陣の取材に応じた調査官は「現状では本日中に(調査を)終了するのは難しいと考えている」と述べ、同日中の運転再開は難しいかとみられたが、東急電鉄によると現場調査は午後10時20分ごろに終了。午前0時ごろの運転再開にこぎつけた。
6日の運休本数は田園都市線が577本、大井町線が516本の計1093本。5日の分も含めると運休本数は1107本に及び、2日間合わせて約65万2000人に影響が出た。

高度な安全設備でも「抜け」はないか
1日平均約115万人(2024年度)が利用する通勤の大動脈である東急田園都市線。沿線にはほかの鉄道路線へのアクセスが限られた場所も多く、ひとたびストップすれば沿線利用者のみならず周辺地域に及ぼす影響は大きい。
東急電鉄では2014年2月、東横線の元住吉駅構内で列車の追突事故が発生している。この際もATCは正常に作動していたものの、大雪で非常ブレーキが十分に利かず、乗客72人が負傷した。今回の衝突事故の原因となった、梶が谷駅の連動装置設定ミスはその約1年後だったことになる。
事故の状況は大きく異なるとはいえ、さまざまな安全装置で鉄壁の守りを固めたように見える近代的な路線にも死角があるといえる。ワンマン運転をはじめ鉄道各社で省力化・合理化が進む中、安全対策に意外な見落としや「抜け」はないか、より一層の入念な見直しが必要といえそうだ。

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