「2階建て鉄道車両」なぜヨーロッパには多いのか 通勤列車が多数派、日本の「特別感」と違う導入理由

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DB 2階建て客車
ドイツの2階建て列車。主に近郊用として幅広く導入されている(撮影:橋爪智之)

どこか特別な響きがある「2階建て車両」。近鉄の「ビスタカー」や首都圏のJR普通列車に連結されているグリーン車、かつての東海道・山陽新幹線100系など、それぞれに思い浮かべる車両は異なるだろうが、日本では特急列車やグリーン車などの優等列車、優等座席車両に用いられることが多い。

通勤型のように純粋な実用性を求めた車両は、JR東日本のライナー用に製造された215系や、1両だけ試作された常磐線用の415系(クハ415-1901)など、数えるほどしかない。2階建て車両は、2階部分が高い位置にあり通常の車両と比較して眺めが良いことから、日本では特別車両として採用される例が大半だ。

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ヨーロッパでは2階建て=通勤車両

一方、2階建て車両は床面積が増えるため、座席数を多くできるという利点があることから、ヨーロッパでは通勤型車両に採用される例がほとんどで、特別車両としての採用例の方がはるかに少ない。

【写真】ヨーロッパでは特急や特別車両より通勤列車に多い「2階建て車両」。パリの近郊路線を支える「2階建て3ドア」の電車や東欧の社会主義時代に造られた客車、イタリア全土で活躍する日立製の車両など、各国を走る2階建て車両の数々

ヨーロッパでは通勤時も立錐の余地もないほどの混雑となることはあまりなく、郊外のベッドタウンと都心部を結ぶ近郊列車の大半は、極力座席数を増やした設計となっている。日本の通勤電車のような3~4ドアの車両は大都市中心部の地下鉄くらいで、パリやロンドンといった世界有数の大都市であっても、車両のドアの数は2つだけ、という近郊路線もある。

その究極形態として誕生したのが、床面積を広げて座席数を大幅に増やした2階建て車両というわけだ。

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