「2階建て鉄道車両」なぜヨーロッパには多いのか 通勤列車が多数派、日本の「特別感」と違う導入理由

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ベルギーやオランダも、2階建て車両を積極的に導入している。ベルギーはM5型客車以降、M6・M7型といずれも2階建て車両を投入している。オランダは、優等列車であるインターシティの主力車両、VIRM型やDDZ型といった2階建て車両を投入しているが、国土の小さいオランダのインターシティは他国における中・長距離普通列車に近いものがあり、考え方としては着席通勤を目指した近郊輸送に近い位置づけかもしれない。

NS VIRM
オランダのVIRM型電車はインターシティとして活躍(撮影:橋爪智之)
【写真】ベルギーの2階建て客車M6型。ホームの高さに合わせてドアが2種類ある

中欧の各国でも、都市圏の近郊用として昔から2階建て車両が導入されてきた。唯一導入していなかったハンガリーも、2020年からスイスのシュタドラー製2階建て電車「KISS」の営業運転を開始、晴れて2階建て車両のある国の仲間入りを果たした。

MAV-Start KISS
ハンガリー初の2階建て車両となった「KISS」(撮影:橋爪智之)

イギリスにも約60年ぶりに復活?

欧州主要国で唯一の例外はイギリスで、ロンドンをはじめ路線バスの多くにダブルデッカー車両が使われ、またブラックプールのトラムにも2階建て車両が使われているのとは対照的だ。

イギリスは在来線の車両限界(ホームや建物などの構造物、隣の線路を走行する車両などに接触しないよう定められた車両の最大断面)が大陸各国と比較して小さいため、1949年に4両編成2本が試作され1971年まで使用されたサザン鉄道の「クラス4-DD」以外で実用化されることはなかった。

高速新線は大陸側と同じ車両限界で建設されているため、英仏海峡トンネルを通る高速列車「ユーロスター」が2030年をメドに2階建て車両を導入することを発表しており、実現すれば約60年ぶりに2階建て車両がイギリスに復活することになる。

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