「2階建て鉄道車両」なぜヨーロッパには多いのか 通勤列車が多数派、日本の「特別感」と違う導入理由
日本は人口密度の違いから、ヨーロッパではゆったりとした着席通勤が標準となるような、都心部から50~100km圏の近郊列車でも積み残しが出るほどで、通勤列車の座席数を増やすことがそもそも難しい。
2階建て車両は上下階を結ぶ階段が必要になり、少しでも多くの乗客を詰め込む通勤車両としては、こうした階段部分が無駄なスペースになってしまう点も導入を阻んでいる理由といえよう。また、途中駅での乗降が多いのはもちろん、とくに近年は湘南新宿ラインや上野東京ラインのように、都心部を突き抜けて反対側へ直通する路線が増えたため、途中駅での乗降のしやすさは鉄道会社にとって死活問題と言える。
日本とヨーロッパで異なる環境
階段のスペースを設けるためにドアの数が少なく、しかも乗降性が悪い車両となれば、いくら座席数を増やしたとしても運行するのは難しい。かつて、オール2階建て車両として注目を集めたJR東日本の215系電車は、座席定員制の通勤ライナーとしては成功したと言えなくもないが、首都圏で一般の近郊用車両として使うには無理があり、すでに全車両が引退してしまった。
一方、ヨーロッパの場合は、一部を除いて近郊列車がそのまま都心部の各駅で客扱いをするのではなく、ターミナル駅で終点となる列車が多い。途中駅での乗降による所要時間の増大や遅延を考慮しなくていいことも、2階建て車両を導入しやすい点といえる。
ヨーロッパでは、2階建て車両は都市近郊の通勤輸送を筆頭に「輸送力増強」の手段として、今後もさまざまな用途で活躍を続けていくだろう。
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