東武9000型「ステンレス車体に茶色の帯」の元祖 東上線の地下鉄直通用、少数派だが大きな存在感

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一方、大幅に変わった機器類や内装と対照的に、車体は車外放送用のスピーカーを後から取り付けた程度で登場時からほとんど変わっていない。ステンレス製の車体は頑丈で、「車体はとてもしっかりしている」と泉川さんは話す。

ただ、登場時はハイテクだった「主回路チョッパ制御」も今では古い技術となり、電子部品などの調達や交換は難しくなっている。23年には、副都心線対応工事を行わなかった試作車の9101編成が廃車され、現役の車両も26年から投入する新型車両「90000系」によって置き換えられる予定だ。

9000型 急行森林公園行き
地下鉄直通などで活躍を続ける9000型(記者撮影)

「エポックメイキングな少数派」

「少数派ですが本当にエポックメイキングな車両」と泉川さんは9000型を評する。本線の車両に関わってきた車両企画課の松田朋之さんも、「本線にはATO改造などここまでいろいろな経歴を経てきた車両はないのでは。東武のステンレス車の礎として、先人が造った車両がよかったからできたことだと思う」と語る。

東武鉄道車両部車両企画課主任の泉川友彦さんと松田朋之さん
東武鉄道車両部車両企画課主任の泉川友彦さん(左)と同課の松田朋之さん。指さしているのは9000型のブレーキ装置。泉川さんはブレーキ関係の経験が深い(記者撮影)
【写真】「銀色にマルーン帯」のスタイルを築いた東武鉄道初のステンレス車両9000型。車体の各部や床下の機器類、車内、そしてリニューアル前の懐かしい姿まで。後継の新型90000型はどんな車両になる?

新車の90000系も含め、21世紀に入ってからの東武車両はアルミ製車体に移行しているが、銀色の車体にマルーン帯のステンレス車両は80~90年代に大量に導入され、東武の一時代を築いた。その基礎となった9000型にも、静かに終着駅が近づきつつあるようだ。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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