特徴は、安全機能付ポンプ操作盤(e-モニター)を車両後部に配置したこと。通常の操作装置は車両側面に置くため、道幅が狭い場所などでの利便性が課題だった。

なぜ、これまでの消防車では、車両側面でポンプの駆動をコントロールする必要があったかといえば、ポンプの動力源がディーゼルエンジンの近くにあるからだ。
ディーゼルエンジンからの動力は通常、駆動力として変速機とドライブシャフトを介して後輪を駆動する。消防車両では、その動力を変速機の後部で分割し、そこから別のドライブシャフトを介してポンプを稼働させる仕組みだ。
消防車両の業界ではこの動力分離装置を、PTO(パワーテイクオフ)と呼ぶ。
静かで広く「疲労度が違う」
一般的な消防車両の場合、消化活動中はディーゼルエンジンの動力を100%ポンプ駆動に使うため、エンジン回転数は高くなりエンジン音も大きくなる。
また、はしご車の場合、ディーゼルエンジンからの動力をポンプ駆動用と、はしご駆動用に分割している。こうしたレイアウトが必要であるため、操作パネルは車両側面に置くのが一般的なのだ。
これがEVになると、音が静かで振動も少なく排ガスも出ない。また、ドライブシャフトがなくなるので、ポンプ操作系機器の配置の自由度が上がる。さらに、操作用タブレットとの相性も良く、遠隔操作ができるのがメリットだ。

実際にEV消防ポンプ車での実務を行っている大阪市消防局の北野勝也氏は「(当初)思っていたより良い」と表現する。
走行中とポンプ駆動中ともに、ディーゼルエンジンと比べて圧倒的に静かであり、車内も広くて利便性が良いので、任務中の「疲労度が違う」と指摘する。
また、タブレットなど電子操作については、任務経験の浅い隊員でも「一定レベル以上でポンプ操作等ができること」を利点にあげた。
現在のところ、ポンプ駆動の細かい調整などは隊員それぞれの経験に基づきマニュアル操作に頼っているという。
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