最近よく見る《A2牛乳》は海外で先行普及 「おなかに優しい」理由は、特別な遺伝子を持つ乳牛から搾るため

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A2牛乳
店頭に並ぶA2牛乳(筆者撮影)

「A2(エーツー)牛乳」という牛乳をご存じだろうか? 小売店の店頭にさまざまな牛乳や乳飲料が並ぶ中、存在感を増してきた商品だ。

筆者が5月と6月に東京都内の大型スーパー2店を訪問した際は、それぞれ目立つ場所に陳列されていた。

最近はテレビや新聞でも取り上げられる機会が増えたが、まだ一般にはなじみが薄い。いったいどんな商品なのか? 生産と卸のキーパーソンに取材した。

世界での市場規模は2兆円を超え、成長中

「A2牛乳は健康意識の高まりとともに世界的に注目され、特にアメリカやオーストラリアでは普及しています。世界のA2ミルクの市場規模(※)は2兆円を超え、2032年には約3.5倍の7兆円に拡大する見通しです」

(※)調査会社のグローバルインフォメーションが発表したデータでは、世界的なA2ミルクの市場規模は2023年に134億ドル(約2兆173億円)に達し、2032年までに478億ドル(約7兆1958億円)になることが予測されている。

こう話すのは有限会社藤井牧場(北海道富良野市)社長の藤井雄一郎氏だ。富良野で120年続く酪農家の5代目として牧場経営を行いながら、A2ミルクの存在に魅せられて研究を続けてきた。2020年には「日本A2ミルク協会」を設立して代表理事を務める。

「最大の特徴は『おなかに優しい』ことです。A2牛乳は飲んでもおなかに影響を与えない実証結果が出ています。専門的な話になりますが、牛乳に含まれる “β(ベータ)カゼイン”(たんぱく質)は牛の遺伝子によって『A1型』と『A2型』に分かれます。

国内で売られている牛乳はA1型が多いのですが、A2牛乳は“A2型βカゼイン”のみを含む牛乳で、特別なA2A2遺伝子を持つ乳牛から搾ります。牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする方の中には、A1型βカゼインが分解される過程で生じる物質が一因とされる研究もあります」(藤井氏)

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