
「今の時代、ダイバーシティのある会社を目指すのは当然」という認識は広がっていますが…(写真:metamorworks / PIXTA)
「働き方改革」「人的資本経営」「女性管理職比率」「ワークライフバランス」「副業・兼業」「ダイバーシティ」──。昨今、さまざまなキーワードが企業経営の重要テーマとなっている。多くの企業がこれらのテーマに沿った施策を打ち出しているが、果たしてそれは、企業の持続的な成長や働く個人の幸福に真に貢献しているのだろうか。
リンクアンドモチベーション代表取締役会長の小笹芳央氏は、「企業は世の中の潮流に乗るためにトレンドワードに飛びつくが、いつの間にかその本質を見失い、手段が目的化してしまっているケースが少なくない」という。
小笹氏の著書『組織と働き方の本質 迫る社会的要請に振り回されない視座』を再編集し、経営やマネジメント、個人の働き方の本質にシリーズで迫っている。第4回の本稿では、「ダイバーシティ」の本質について解説する。
「ダイバーシティ推進」は重要なテーマだが…
「今の時代、ダイバーシティのある会社を目指すのは当然のこと」
「社会から求められているから、対応しないとまずいですよね」
こうした声を聞くことは少なくない。しかし、自社にとってどのような意味を持つのかを深く考えないまま、「やらなくてはいけないからやる」という発想に陥ってはいないだろうか。
「ダイバーシティ」とは、直訳すると「多様性」のこと。企業経営においてダイバーシティが注目を集めるようになった大きな背景として、顧客ニーズの多様化やグローバル化の進展がある。
こうした変化の中で企業が成長・発展を遂げていくためには、従来の同質的・均一的な組織からの脱却が求められているのだ。
このように、ダイバーシティ推進は企業経営にとって非常に重要なテーマでありながら、その本質を見誤れば、どれだけ取り組みを重ねても空回りに終わる危険がある。
だからこそ、あえて企業という枠を外し、より大きな視点――社会の発展過程そのものから、多様性の意味を問い直してみたい。
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