漁網・食品のニチモウ、養殖畑の社長が描く成長戦略 青木信也社長は5月の新中計で何を打ち出すのか

青木信也(あおき・しんや)/1962年岩手県生まれ。1985年北海道大学水産学部卒業後、ニチモウ入社。海洋営業部雄勝養殖事業所に所属。四国営業所長や福岡支店長を経て、2020年に資材事業本部長、2021年に海洋事業本部長を歴任。2024年6月から現職(写真:梅谷秀司)
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社長就任は予想していなかった
――青木社長は1985年の入社以来、養殖関連の研究開発に従事してきたそうですが、ニチモウの歴代社長は管理畑の方が続いています。ご自身のキャリアを踏まえると、極めて異例の人事だったのでしょうか。
そうですね。珍しいタイプでしょうね。
松本和明前社長(現会長)からは「養殖事業は社会的なニーズも高まっている。これまでの経験を生かして、やってほしい」という声をいただいた。とはいえ、(社長就任は)まったく予想していなかった。本来は長靴を履いて、カッパを着て、魚の卵を絞っていたわけですから。
――得意分野である養殖ですが、足元ではどのような課題がありますか。
今まで中心になっていたのが海面養殖だ。穏やかな海に生け簀を浮かべて、餌をやって育てるというものだが、それが簡単にできなくなっている。海水温の上昇、台風、赤潮など、環境の変化を目の当たりにしてきた。
われわれができることは何なのか。その1つが(海面養殖よりも自然環境に影響を比較的受けない)陸上養殖だ。
現在、九州電力とトラウトサーモンの陸上養殖を一緒にやっている。現在、年産300トンだが、中期で3000トンに引き上げる目標を掲げている。
その達成は技術的には問題ない。ボリュームが増えればコストも当然、下がる。そこで作った魚も単に市場に出すというよりは、(付加価値を付けて)自分たちで売り切ることを目指していきたい。
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