「カネのためじゃない!」起業家を突き動かす「不合理な衝動」の正体とは 「幸福な失敗」を追い求め、リスクを厭わぬ心理の深層

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成功の見込みが低く、損失や個人的ダメージのリスクが高いにもかかわらず、なぜ起業家は起業を厭わないのだろうか?

ヨーゼフ・シュンペーターは起業家を「野心的な精神」や「燃え立つ魂」と表現し、彼らは「創造的破壊」のプロセスに取り組むと述べた。

起業家の目的は、イノベーションを加速し、大きな影響力を発揮することであり、「宇宙にへこみを作る」ことなのだ。

利益よりも重要なもの

起業家が目指すのは、リスクがあっても、多くの人々が価値を見出すアイデアや製品を生み出すことだ。

彼らは真空状態では存在できず、自分の仕事が世界や大切な人々に影響を及ぼすことを望んでいる。ロジャー・マーティンは、起業家が最も気にかけるべきは「小さなコミュニティに映るあなたの姿」だと助言した。

起業家は利他的な目的を持つこともあるが、利他主義者ではない。彼らは功績に対する報酬やその約束を求め、金を稼ぐことを厭わない。

しかし、利益以外の物事のほうが重要であり、金儲けは彼らの報酬リストでさほど上位を占めない。彼らは何よりも、自分のコミュニティの期待に応え、それを超えることを切望する。

先進国全体で起業家は増加傾向にあり、アメリカの新規事業申請件数は2021年に過去最高の530万件に達した。

パンデミック下で起業が急増したのは、労働市場の混乱の中で人々が自分の人生をコントロールしたいという願望が主な要因であり、情熱を追求することも動機となっている。

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