アップルWWDC25で発表された「Liquid Glass」、iPhone・iPad・Macの画面で起きる物理法則が根本から変わる新UIとは

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だからといってプログラマーが好き勝手に思いつきでボタンの形を変えていたらユーザーは混乱する。そこでソフト開発の共通ルールとして、Mac発表前の1978年、アップルのソフトウェアエンジニアであるブルース・トグナツィーニが「The Apple Human Interface Guidelines(HIG)」をまとめた。

その後、アップルはマウス操作を世界に広めたLisa/Macintosh(Mac)開発時に、認知科学者や文化人類学者、アーティストなどさまざまな知見を持つ人々を巻き込んで、このHIGをさらに拡充した。角を丸めた四角形のボタン、常時表示のメニューバー、アラートボックスでのキャンセル(左)とOK(右)の配置など、今日も多くのソフトウェアが踏襲するデザインの基本が決められた。

こうしたガイドラインを用意し啓蒙していったことで、Macは初めて使うソフトでも使いやすいという強みを手に入れ、やがて、他社もこうしたやり方を取り入れるようになった。

アップル
ハサミなどのアナログな道具はその形状を見て使い方が想像できる部分があったがソフトは異なる。それだけに開発する側がどのように使うかをユーザーが想起しやすいデザイン上の工夫を施す必要がある(筆者がAIで生成)

日本のソフト開発の課題はデザイン軽視

マイクロソフトやグーグルといった会社も現在はアップル同様、特設のWebサイトを設けて自社のデザインガイドラインを示している。今日、OS提供などを行う大手ソフト開発会社はどこも独自のデザイン哲学を打ち出し、それに基づいたデザイン言語を規定し、その言語に沿ったボタンやスライダーといったデザイン要素をデザインシステムとして提示している。

いや、OSの提供会社だけではない。世界トップクラスの金融機関や旅行会社、スポーツやエンターテインメント団体など、世界の一流企業のシステム構築を請け負うことが多いIBM社なども、2015年来、Carbon Design Systemというデザインシステムを提供し、これをオープンソースで開示している。

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