アップルWWDC25で発表された「Liquid Glass」、iPhone・iPad・Macの画面で起きる物理法則が根本から変わる新UIとは

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Material 3
Androidのデザインではパーソナライズ/カスタマイズが重要なキーワードになっている。ユーザーが自分の手足の延長と実感できるように多彩なマテリアルを用いてパーソナライズできる一方で、他社製品と差別化したいスマートフォンメーカーのカスタマイズ要求にも応えられるデザインになっている(Material 3ホームページより)

アップルのデザイン理念を体現したLiquid Glass

WWDC25で発表されたアップル社のLiquid Glassは、iPhone用のiOS、iPad用のiPadOS、Apple Watch用のwatchOS、Apple TV用のtvOS、Mac用のmacOS、Apple Vision Pro用のvisionOSという6つのApple製OSでルック&フィール(見た目と触り心地)を統一する初の試みとなる。

そのアップルのデザインの基本理念は数十年変わっていない。それは「画面上のコンテンツ情報こそを主役として引き立てる」という考え方だ。

1998年、スティーブ・ジョブズがアップルに復帰した直後、同社のデザイン部門を率いていたジョナサン・アイブは「コンピューターは利用するソフト(アプリ)によって仕事の道具にもなれば、遊びの道具にも変わり性質が流動的で水のようだ」と語っていた。流動的なコンピューター、その瞬間の性質を決めるのは画面に何が映し出されているか、つまりコンテンツだ。

アップルは、ソフトのデザインはもちろん、製品ハードウェアのデザインにおいても、この理念を大事にしている。このためiMac以後、今に至るまでアップルの製品は、実は真正面から見るとただ大きな画面が広がっているだけで、どちらかというと退屈な見た目になっている。巷では美しい、かっこいいと評されるこれらの製品が、使う人の目を楽しませる鮮やかなカラーバリエーションや宝飾品のような高級な仕上げを見せるのは、作業を終えて製品を横だったり裏側から眺めたときだ。

ソフトウェアデザインの理念も同様で、ウィンドウを整理したり、1つのアプリから別のアプリへの切り替えなどでこそ楽しいアニメーション効果があるが、作業に集中しているときは存在感が消えるユーザーインターフェースを意識してきた。

今回発表したLiquid Glassは、そうしたアップルのデザイン理念の究極の形に仕上がっている。

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