アップルWWDC25で発表された「Liquid Glass」、iPhone・iPad・Macの画面で起きる物理法則が根本から変わる新UIとは
しかし、ここで日本のシステム開発会社の名前を入れて「デザイン言語」「デザインシステム」「ガイドライン」といった言葉で検索をしてみてほしい。富士通が「FUJITSU GUI Next Plus(FGNP)」を内部で使っているらしいということ以外にほとんど情報が出てこない。他社も「UI(ユーザーインターフェース)」や「UX(ユーザー体験)」の研究をしているという情報は載っているが、なかなかその詳細は出てこない。「弊社ではこういう設計思想で製品を作っています」と明示しているところはほとんど見かけない。
いったいそんな状況で、ソフト開発を依頼する側もどうやって開発の依頼先を選べるのだろうか。果たして基準は開発のコストと納期だけなのだろうか。一度作ったソフトウェアは、それからしばらく企業と顧客の接点になる。それなのに体験が悪くても気にしないのだろうか。
筆者はこうした状況こそが「国産ソフトは使いにくい」という状況を生み出す最大の原因だと思っている。
もちろん、わずかな希望もある。最近では誰でも簡単にそれっぽくソフトウェアをデザインするためのデザイン要素がインターネットで多数公開されている。
また日本の省庁の画面上での表現を規定するべく、デジタル庁が2024年5月に「デジタル庁デザインシステムβ版」を発表。Web画面上での操作対象の色、書体、レイアウトなどを規定した基本デザインのガイドライン、操作用の基本要素をオープンソースで公開、省庁以外でも利用できるようにしている。ただし、こちらは情報伝達の基本を満たすための工夫が施されているだけだ。国や自治体のデザインシステムとしては正しいアプローチだが、OSメーカーのような世界観の作り込みはなく、表現する世界観のブランディングといった側面はほとんどない。

汎用性重視のマイクロソフトのデザイン
現在、主要OS開発各社は独自のデザイン言語を採用し公表している。
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