「おやじの会」はPTAの代わりになれるか? "保護者ボランティアの理想形"ここにアリ

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そこをすっとばして、活動を「必要ない」と思っている人や、事情があって「参加できない」という人にまで無理やりやらせてしまうから、嫌な思いをする人や、つらい思いをする人が出てしまうのです。

「わが子の親から、地域の親に」

最後にもうひとつ、「おやじの会」の注意点として添えておきたいのは「会員限定のサービスをしない」ということです。

PTAも同様ですが、任意団体が学校という施設を使って活動できるのは、「子どもたち全体」のために奉仕する活動をするからです。もし会員だけのための活動をするのであれば、PTAでも「おやじの会」でも、施設使用は原則的に認められないはずです。

実は取材中に一度、「非会員の子どもが参加できないイベントを行う“親父限定”の会」の話を聞いたことがあるのですが、さすがにこれは、悲しくなってしまいました。

母子家庭、祖父母と子どもで暮らす家庭、女性カップルで子育てする家庭等々、父親がいない家庭だって実際にはたくさんありますし、両親がそろっていても、2人ともすごく忙しくて「おやじの会」に参加できない家庭だってあるでしょう。

そういうおうちの子どもを排除した活動を行う会が、ボランティア団体といえるのでしょうか?

「日本おやじの会連絡会」代表の山下さんは、「むしろ、ふだん大人の男性とふれあう機会が少ない家庭の子どもにこそ、『おやじの会』が必要だ」と言います。

「僕が作った『おやじの会』のスローガンは『わが子の父親から、地域のおやじへ』。自分の子どものことだけをやるんじゃなくて、よその子のおやじにもなる。それが、『おやじの会』なんです」

全国の「おやじの会」のみなさんにも、同時にPTAのみなさんにも、ぜひこのような理念で活動していただけたらうれしいな、と思います。

大塚 玲子 ノンフィクションライター

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おおつか れいこ / Reiko Otsuka

主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA(学校と保護者)」。著書は当連載「おとなたちには、わからない。」を元にまとめた『ルポ 定形外家族』(SB新書)のほか、『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』(教育開発研究所)『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(同)など。テレビ、ラジオ出演、講演多数。HP

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