私たちは、今のような形に慣れすぎて、PTAは「保護者全員でやらなければならないもの」と思い込んでいますが、本当はPTAだって「おやじの会」と同様に、「できる人が、できるときに、できることを」、楽しんでやるもののはずです。
PTAは母、おやじの会は父、という棲み分けが進む?
さて、このように、ボランティア団体として理想の姿を実現している「おやじの会」ですが、少々引っかかる点もあります。
それは「おやじの会」が存在することで、「PTA=お母さん」「おやじの会=お父さん」という“棲み分け”が固定化しかねない、という点です。
誰かがやるべきとされている、どちらかというと「あまり面白くない仕事」はPTAでお母さんたちがやって、誰から頼まれたわけでもない「楽しい仕事」は「おやじの会」でお父さんたちがやる、という図式が定着してしまう可能性がある。これは、避けたいところです。
「『おやじの会』をやっていると、PTAを長くやっているお母さん方から“いいとこどり”って言われることはありますよ。面倒なことはみんなPTAにやらせて、『おやじの会』は楽しいことをやって飲みにいくだけじゃない!って(苦笑)」(前出・上田さん)
このような見方に対する反論として、「現状のPTAはお母さんばかりで、お父さんにとって入りづらいから、最初の“入り口”として『おやじの会』が必要なんだ」という意見を聞くことがありますが、それはどうかな?と思います。
「おやじの会」ができたことによって、お父さんのPTA参加率が上がったという例は、残念ながら聞かないからです。せいぜい、「次のPTA会長候補が見つけやすくなる」(「おやじの会」からPTA会長が出ることが多い)という程度ではないでしょうか。
たしかに、お父さんたちにとって、お母さんたちの輪に入っていくのは、勇気がいることでしょう。でも、じきに慣れると思うのです。
筆者も昨年、お父さんたちがメインのNPOに入ったとき、コミュニケーションのとり方が母親同士のそれと異なるので、初めはかなり戸惑いました。が、しばらくしたら慣れました。壁を感じたのは、最初だけです。
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