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"松下ウォッチャー"が看破する、パナソニックが「人員削減を繰り返す会社」へとなり果てた根本理由

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元をただせば、幸之助氏が事業部制を導入し社内競争を促したことに加えて、急成長を遂げた国内家電業界に競合相手が多かったこともあり、競争好きの遺伝子が育まれたと考えられる。その後、事業部が解体されたり、また元に戻ったりと、組織再編好きという行動も加わり、そのたびに意味不明な組織名がつけられるようになった。

現在の事業会社名も、何をしているのかわかりにくい社名が少なくない。おまけに長すぎる横文字社名が多い。今や、紙の新聞を読む人は減っているが、新聞の1行で収まらないような事業会社名が並ぶ。最も長い「パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社」は30字もある。

社内の人だけがわかればいい、という感覚があるのではないだろうか。どこが株主重視なのだろうか。近年、パナソニックがBtoB(企業間取引)分野へシフトしていることもあり、以前にも増して「何をしているのかわからない会社」という声を聞くようになった。メディア関係者でさえ、電機業界担当でなければ同様の反応だ。

「パナソニック解消」で混乱が生じた事情

幸之助氏は「世間は正しい」と言ったが、世間の目から見て「何をしているのかわからない会社」では、コーポレートブランド上の問題だけでなく、経営面でもさまざまな支障が生じるのではないか。

例えば、2月4日に行われたパナソニックHD・2024年度第3四半期決算説明会の後に起こった騒動だ。楠見氏が「パナソニック株式会社を、2025年度中に発展的に解消する」「テレビ事業を売却する覚悟はある」と発言したのだ。

この発言が「パナソニックグループが解体される」「パナソニックブランドがなくなる」「テレビ事業の売却」などの誤解を招いた。そのような記事が掲載されたことで、パナソニックHDは同日、「テレビ事業を含む課題事業に関して、抜本的な収益構造の変革に向け、あらゆる可能性を視野に検討しているが、売却・撤退も含めて現時点で決定している事実はありません」、続いて5日にも「パナソニック株式会社の再編を主旨としており、パナソニックグループを解散することはありません」「パナソニックのブランドはグループの重要な経営資産であり、この大切なブランドのもとで、未来にわたってお客様や社会に貢献し続ける企業構造へと変革してまいります」と発表した。

そもそも、パナソニック ホールディングス、パナソニックグループ、パナソニック株式会社と、いちいち詳しく説明しないと違いがわからない組織名であるということを認識していないのではないか。この細かな点だけを見ても、パナソニックは「言葉に関する感性」が乏しく、文学性(表現力)が低いといえよう。

さらに、グループの存在意義(パーパス)を表すコーポレートスローガンにも、表現力の欠如が見られる。コーポレートスローガンにしている「幸せの、チカラに。」を見て聞いて、いったい何をイメージしろというのだろうか。さらに、パナソニックHDは採用ブランドスローガンについても検討を進め、「誰かの幸せのために、まっすぐはたらく。」を制定した。なんだかなー、である。

後編へ続く)

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