神座の全店直営方式に関して、運営会社である株式会社どうとんぼり神座コーポレートブランディング部課長の大林大輔氏は、「完璧な味、クオリティを守るためには、店や味のすみずみまで神座のDNAが染み付いていなければいけません。だから、直営で責任を持って運営しなければならない」と強調する。
しかしこの方針は「ブランド価値の統一と品質管理」という明確なメリットがある一方で、急成長における資金調達や人材確保の課題をも生み出している。フランチャイズのようにロイヤルティーによって資金を得ることなく、どのように700店舗への投資資金を捻出するのか。
そう思って業績を見ると、前編で述べた通り、神座の売上高は2024年に116億円、株式会社理想実業のグループ連結売上高は128億円と順調だ。客単価は1000円程度で推移しており、「営業利益率」は15%とかなり高い。
そして大林氏は、「営業利益率15%は、今も昔も未来も変わりません。15%をキープしたまま出店を加速させていきたい」と断言する。
外食チェーン業界では10%以上の利益率の確保が難しいとされる中、15%という高水準の営業利益率を維持しながらの拡大は異例といえる。小麦や白菜などの原価高騰の中で、ラーメン一杯750~870円、営業利益15%を維持できる仕組みは、企業努力の結晶であり健全な経営の証拠といえそうだ。

「技術の伝承」をシステム化する
神座がFCを排して頑なに守る品質のコアには、「黄金色のスープ」にあるという。「ラーメン屋である前に、神座はスープ屋」なのだという。
スープ屋とは意外な言葉だが、これを証明するのが神座の看板だ。「SOUP WITH NOODLES」の文字が入っている。つまりは、「麺の前にスープありき」なのだ。
黄金色のスープは、創業者が1年半以上試行錯誤して完成させたものだ。ベースにはフレンチの技法が使われているそうだが、製法については約40年にわたり「門外不出」が貫かれている。
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