このとき使う白菜は、埼玉県にある専用工場から届く。工場では、季節、収穫に応じて農家と契約して白菜を仕入れ、約25メートルの巨大な「白菜マシン」にかける。
白菜マシンはAIによるスキャナー分析により、1つずつ無駄が少ない形で芯をくり抜き、「一番おいしく食べられる」サイズにカットするそうだ。

スープだけでなく、もちろん麺にもこだわって、製造工場で1から独自に作っている。チャーシューも専用工場で味付け、スライスまでした上で店舗へ配送する。店舗拡大に伴って、これらのセントラルキッチンの機能は拡充していく予定だという。
このような仕組みがあるからこそ、神座が守る「おいしく白菜たっぷりのラーメン」を、どの店でも狂いなく提供できているのだ。
DNAに刻まれた「日本の味」
ところで、神座は自社のラーメンを、「日本の味」と呼んでいる。
白菜の旨味が染み込んだ、だしのような優しいスープ。元気で、丁寧で、個別に心を満たすサービス。そして、明るく清潔で、入りやすく居心地がいい空間。この「味、おもてなし、空間」すべてが一つになった体験を「日本の味」と表現している。
なぜ、「日本の味」と呼ぶようになったのか。それは、神座が大阪発のチェーンながら、家系ラーメンの文化が強い関東をはじめ、全国の人に抵抗なく受け入れられたことが発端だった。
「どうして受け入れられるのか?」と考えたときに、「だしの文化が日本人のDNAにあるからでは」と気づいたそうだ。

「神座のスープは、『だしを飲むとホッとする』という、日本人の原体験的な部分に触れるのではないかと思います。それこそが、広くご評価、ご愛顧いただいている神髄ではないかと。だから『日本の味』と表現しているのです」と大林氏はいう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら