「刑務所を出ても再犯するかも」「GPSデバイスの装着を」愛する子がわいせつ被害…「服役後も加害者を追いかける」と決意した“親の執念”
「保育」の勉強をしているという当時高校生の男性に好感をもって受け入れた谷崎さん家族。男性の親ともやりとりをする中で、互いの自宅に寝泊まりするようになった。
家族にとって、男性は、一緒に遊んでくれるだけではなく、時には癇癪を起こすAくんを適切な態度で叱ってくれる「優しくて頼れるお兄さん」だった。

それだけに、被害を知らされた当初は、「彼がわいせつな行為をしてしまったのは、息子と近づけてしまったせいではないか」とかばうような言動さえしたことがある。
あとで明らかになることだが、知り合った数カ月後には、それぞれの自宅で、Aくんに口腔性交をさせあったり、ときにはAくんの尿を飲んだりしていた。お尻に指を入れたことも警察に供述している。
成人向け動画を見せてから、わいせつ行為を終えたあとで、口に指を当てて「シー」と口止めをすることもあった。
裁判所は2024年12月、AくんとB子さんに対する強制性交等罪と不同意わいせつの罪で懲役4年6カ月(求刑:懲役6年)の有罪判決を言い渡した。この判決は確定している。
判決で裁判長は「犬の散歩を通じて知り合ったAくんに、性的に未熟であることにつけ込んで犯行に及んでおり、卑劣かつ悪質」としたうえで常習性は顕著だと指摘した。
性的な行為を受け入れなければ、ゲームをやらせない
この刑事裁判の中で、少なくとも4人の子どもたちが性被害を受けたことが明らかになった。
そのほとんどで「犬の散歩」が年少者との接点となっており、男性の犯行手法が洗練され、確立されていったと谷崎さんは考えている。
男性は、Aくんに対する犯行を供述したが、それ以外の客観的証拠は乏しかった。
「B子さんへの犯行も、内容はひどいものでした。しかし、B子さんへの不同意わいせつ罪だけ認められても、執行猶予がついてすぐに解放された可能性がありました」
自分の考えをうまく伝えることが苦手なAくんだったが、面接を担当した検察官に、被害の詳細だけでなく「性的な行為を受け入れなければ、好きなゲームをやらせない」と言われていたことや口止めされていたことまで打ち明けることができた。
「面接では息子が頑張ってくれたと思います。性被害事件では、恥ずかしいことだとわかると、どうしても打ち明けられない子どもも半数くらいいるそうです」(谷崎さん)