脳ドックで発見率3%でも受けるべき?脳動脈瘤の治療がここ数年で大きく変わりつつある事情
このため、現在の実施医の人数は全国で推定約800名、実施可能な病院は500程度まで拡大していると見ていい。なお、実施医のリストは各メーカーともに残念ながら非公開。医家向けの商材を扱う事業者が、一般消費者を特定の医療機関に誘導するような行為を薬機法が禁止しているためだ。
脳動脈瘤発見率3%でも脳ドックは受けるべきか
もっとも、「実施医の人数は増えているとはいえ、経験豊富な“名医”に手術の依頼は集中しがちで、実施医の資格を手にしてもほとんど実施実績がない医師が急増中」(業界関係者)なのだという。
実施医がかつてほど希少ではなくなると、おのずと患者が実施医にたどり着くハードルも下がる。その分、実績欲しさに不要な手術を勧める医師に当たる確率も上がる。
脳血管内治療で圧倒的な実績を有し、元順天堂大学脳血管内治療学研究学講座教授で、現在慈恵会医科大学脳神経外科で客員教授を務める大石英則医師は、「フローダイバーター術は素晴らしい治療法ではあるが、決して万能ではなく、コイル塞栓術など他の方法も併せて、脳動脈瘤が発生している場所、状態に応じた最適な方法は何なのか、そもそも破裂予防手術自体、本当にその患者にとって必要なのかも含め、患者と密にコミュニケーションをとりながら、慎重に検討、判断すべき」だと強調する。
大石医師は7400件以上の脳血管内手術実績を持ち、そのうち約5000件が脳動脈瘤関連。フローダイバーター術では680件、WEBでは119件と、文字通り我が国の血管内治療のパイオニアであり第一人者でもある。
大石医師によれば、脳ドックを受診して脳動脈瘤が見つかる確率はおよそ3%程度でしかないという。これが2親等以内に脳動脈瘤の発症歴がある親族がいると確率は倍増するが、それでも6%程度だ。しかも見つかる脳動脈瘤の大半が1~2ミリ程度だという。
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