脳ドックで発見率3%でも受けるべき?脳動脈瘤の治療がここ数年で大きく変わりつつある事情

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そもそも予防手術自体リスクを伴う。例えばフローダイバーター術は全身麻酔で実施するので、薬が合わなければ麻酔自体リスクになりうる。筆者は術後、麻酔から覚めたあと何度も繰り返し、意識が正常かどうか確認を受けた。ここがどこだかわかるか、なぜここにいるのかわかるか、自分の名前、生年月日を言えるか。

血液の通り道に異物であるステントを留置するから、血栓の発生防止のため、手術2週間前から術後半年~1年程度抗血小板薬の服用も必須だ。服用中に大量出血を伴う怪我をすれば血が止まらなくなり、命を危険に晒すことになる。筆者は怪我をしやすい職種ではないが、怪我をしない様細心の注意を払っている。

“アタリ”の医師にたどりつくには

結局のところ患者にとって重要なのは、安易に手術を勧めず、術後に合併症が起きた場合どう対処するのか、効果が発現しない場合次善の策はあるのかなど、意思決定に必要な説明を尽くし、意思決定は患者自身にさせる医師にたどり着くことだろう。

説明や対応に腹落ちできなければ別の医療機関にセカンドオピニオンをとりに行けばいい。患者自身が必要十分な情報に基づいて意思決定をすることがあるべき姿であって、誤解を恐れずに言うならば、自分で意思決定せず医師や家族に決めさせている人に、リスクに対する覚悟は生まれない。意思決定できない人は、そもそも説明を尽くして患者に意思決定を委ねる医師とは話がかみ合わないだろう。

信頼して託すことと、意思決定責任を放棄して依存することはまったく違う。結局のところ患者自身が“ハズレ患者”でなくなることが、“アタリ医師”にたどりつく第一歩なのかもしれない。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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