「No Dance! No Music!」「肌を隠すショールも返却されない…」《日本人無料・外国人有料》のお寺を訪ねて見た"現実"
今年1月から10月までの訪日外国人観光客(インバウンド)は、残り2カ月を残して昨年とほぼ同じ3600万人に達した。年間では初めて4000万人を超えるだろう。一見景気の良い数字に見えるが、一方で地域住民にさまざまな悪影響が及ぶ「オーバーツーリズム」も深刻だ。ネット上では、「外国人には日本人より高い料金を課すべきだ」という言説があふれる。
日本人無料・外国人有料のお寺を訪ねた
現在、日本でこうしたいわゆる“二重価格”を採用しているのは、昨年4月から始めた東京・渋谷の飲食店「海鮮バイキング&浜焼きBBQ 玉手箱」(例えば、海鮮食べ放題バイキングの楓90分プランは、日本人と在日外国人は税込み1100円割引)、今年7月に開業した沖縄初の本格的なテーマパーク「ジャングリア沖縄」(1Dayチケットが日本在住者は大人1人税込み6930円、それ以外は税込み8800円)などがある。
さらに、今年「日本人(および日本在住者)無料、外国人有料」と究極の二重価格を採用したことで話題になった寺院がある。福岡県篠栗町の真言宗別格本山「南蔵院」である。二重価格を導入したのは今年5月。そのインパクトは強く、多くのマスメディアでも取り上げられた。それから半年、福岡県を訪れる機会を得たので、筆者もこの寺院の拝観に訪れた。
篠栗町は福岡市の東郊、福岡から筑豊の飯塚方面へ向かう幹線道路、国道201号線沿いにある、福岡市のベッドタウンの性格も持つ自治体である。南蔵院もこの国道沿いにあるだけでなく、鉄道も至便でJR篠栗線(愛称、福北ゆたか線)の城戸南蔵院前駅から歩いてほんの2~3分で境内に着く。
ちなみにこの駅は、2003年にもともと「城戸駅」だった駅名に寺院の名をつけて改称された経緯がある。後述する巨大な釈迦涅槃像が境内に祀られて参拝客が急増したためと言われている。この篠栗町には「篠栗四国八十八カ所霊場」があり、南蔵院はその第一番の札所でもある。本来は弘法大師とともに巡礼をする聖地のスタート地点でもあるお寺である。



















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