「No Dance! No Music!」「肌を隠すショールも返却されない…」《日本人無料・外国人有料》のお寺を訪ねて見た"現実"
実は南蔵院が外国人の有料化に踏みきった背景には、度重なるインバウンドのマナー違反があった。境内で大音量の音楽をかけてダンスをする動画を撮るなど、宗教の聖地だという認識がまったくないケースが目立ち、さまざまな対策に費用がかかることもあってやむなく有料化にしたそうだ。
お寺のホームページの「拝観料について」(2025年4月26日掲載)というページには、「5月7日から外国人の方を対象に拝観料(1人300円)を頂きます。(中略)出入り口付近の混雑によるご迷惑をおかけしますことをお詫び申し上げますとともに確認へのご理解ご協力を頂きます様、お願い申し上げます」と、特に導入の詳しい理由は書かれていないが、“二重価格”であることが明示されている。
東京に戻ってあらためて現在のお寺の様子を電話でお尋ねすると、「今もトイレの使い方がひどく清掃が大変であること、無料で貸し出している肌の露出をカバーする布も返却されないケースが少なくなく、これにも困惑している」ということであった。
「No Dance! No Music!」の貼り紙
さて、トンネルを抜け、大黒堂や恵比須堂を通り過ぎさらに登ると、南蔵院のシンボルと言える「釈迦涅槃像」が姿を現す。全長41m、高さ11mの巨大なお釈迦様の寝姿は、ブロンズ製では世界最大級とお寺のパンフレットに書かれている。
涅槃像はタイやミャンマーには有名なものもあり、日本の寺院でも時々目にするが、それでも当寺の仏さまの寝姿の迫力は圧倒的である。インバウンドの来訪の目的もこの涅槃像であろう。この前の広場はかなり広くなっており、ここで仏像をバックに動画を撮ろうと思った人がいることは何となく想像できる。涅槃像の前の建物にも、「No Dance! No Music!」という貼り紙がある。
観光客は皆この前で記念写真を撮っているが、ざっと見たところ、日本人は2~3割。やはり外国人の方がかなり多い印象だ。訪れている観光客にどの国から来たか何人かに聞いてみた。オランダからの女性の2人連れ、ドイツからの1人旅の男性、タイから来た家族連れと思われるグループ、いわゆる普通語(プートンホゥワ=北京語)を話しているグループは中国大陸からだろう。
そのうちドイツ人は、自転車で2カ月かけて東京を振り出しに富士山、京都、しまなみ海道などを経て、この日九州に入り、最終的に屋久島まで旅をしている最中に南蔵院に立ち寄ったという。彼の下半身は膝上丈のサイクルパンツだったので、入り口で渡された布を腰に巻いていた。



















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