「未来予想図」の創造が人を絶望の淵から救う がんの悪夢と闘い続けたつんく♂氏の思考法

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終わりの見えない悪夢と闘い続けるために、持っておきたい思考術とは(写真:Rawpixel / PIXTA)

前回は、ゴン中山こと、元サッカー日本代表の中山雅史選手の3年ぶりとなる現役復帰について、その決断に至るまでの動機や、輝き続けるための思考術をアンガーマネジメント的視点で検討しました。

さて今回は、咽頭がんの完全寛解のお墨付きを得ながら、1カ月あまりで新たながんを告知され、歌手としての大事な声帯を切除、家族と共に生き続ける道を選択した、音楽プロデューサーのつんく♂氏を取り上げます。

著書『だから、生きる。』(新潮社)や、毎日新聞に掲載されたインタビュー、NHKの番組『SONGS』で語られた言葉などを読み解くと、絶望下における決断力、希望を見極める思考力など、窮地を乗り越えるための環境づくりや方法論が見えてくるはずです。

終わりのない悪夢

著書によると、つんく♂氏は2014年9月半ば、病院での生研、MRI検査を終え、医師から「治療によってがんが完全に死滅した、『完全寛解した』と表現してよい」という言葉をもらいました。声帯はもちろん、食道や肺への転移や、血液の数値を見る検査も行っていたそうです。

しかし2週間経っても腫れがひどく、病院へ行ったところ、再検査をすることに。検査結果を待つ間には、悲願だったモーニング娘。のニューヨーク公演が控えていました。寛解していないかもしれない不安と、窒息の恐怖(飛行機搭乗中の気圧の変化によって喉が腫れるため)を抱えながら、ご家族とともに渡米したのだそうです。

そのニューヨーク滞在中に、絶望の電話がかかってきました。検査結果はやはり、新たながんでした。治療を検討するため一刻も早く帰ってくるように、との内容だったそうです。

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