エリート医師が「地方」に魅力を感じるワケ 医師の価値観の変容が始まっている
有名大学を卒業しエリートコースをひた走りながらも、都市部のブランド病院ではなく、地方の医療機関を就職先に選ぶ医師がいる。「地方=激務」「生活基盤が整っていない」などのイメージも強いなか、なぜ彼らは地方を選ぶのか。その背景をたどると、医師の価値観の変容が垣間見える。
東大医学部を出て縁もない登米市へ
田上佑輔氏は、東京大学医学部を卒業し、同大医学部附属病院の腫瘍外科に入局。腫瘍外科医として順調にキャリアを重ねていったが、33歳のとき、東大医学部時代の友人と協力して、宮城県登米市に「やまと在宅診療所」を創設した。
九州出身の田上氏が縁もゆかりもない登米市で働こうと思ったのは、被災地の医療を支えたいという使命感からだけではない。都市部のブランド病院とは一味違う、“地方ならではの仕事”に魅力を感じたことも大きかったという。
「登米市は、宮城県でも特に医師が少ない地域です。裏返せばその分、医師一人ひとりがやらなくてはいけないことも幅広い。わたしの場合、診療だけでなく、行政の方とも協力しながら、この地域の医療を充実させる施策を企画する仕事にも携わっています」と田上氏は言う。
地域の医療体制を根本からつくることにかかわる、というなかなか経験できないユニークな仕事内容に惹かれて、登米市で働くことを決断したという。
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