会社での「やる気アピール」はムダなのか 「前のめり感は不要」と指導される若者たち

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自分のおかれた状況を理解している「賢い」若手社員たちは、成長意欲の高さをアピールすることを避ける傾向が出てきたようです。その理由は就活でそのアピールは逆効果である――と指導されてきたから。

そもそも、就職活動で自らの成長意欲を満たすことが、会社選びにおいて重要な基準と思われていた時代がありました。ゆえに

「成長できる企業で働きたく、御社を志望しました」

とアピールする学生がたくさんいました。が、面接対策などでも説得力がないと指導されるようになり、志望動機としてアピールする機会は大幅に減少してきたようです。成長意欲は単なる自分本位の視点。「それより、何がしたいの?」かが重要であると、教育的な指導がされるようになってきたのです。

そして、入社後も成長意欲をアピールするのは得策でないと考えて、控える「賢い」若手社員も増えつつあるのです。

「成長意欲アピール」を封印する若者の本音 

取材した食品メーカーの若手社員は、学生時代にサークルの部長をしていたこともあり、前向きで成長意欲が高いタイプ。そこで、自分を成長させてくれそうな会社を選んでエントリーシートを送りました。ところが、就活対策セミナーで成長意欲のアピールが逆効果の可能性があることを知って、面接などでは本心を封印。会社に喜ばれそうな志望動機に置き換えて、巧みに内定を取り、第1希望の会社に入社しました。

その会社でも成長意欲のアピールはせず、社内では「控えめながら、仕事のできる人物」として高い評価を得ているようです。本人いわく、「このまま、成長意欲のアピールは封印したまま、仕事に取り組んでいくつもり」とのこと。

しかし、これはなかなか極端な例です。完全に成長意欲を隠していくのがいいとは、筆者には思えません。

先ほどのアンケートでも出世させたい部下の特徴にランクインしていたくらいです。エン転職が調査した「市場価値の磨き方」調査でも、市場価値の高さを判断するポイントを人材紹介会社に聞いた場合に、「成長意欲の高さ」がランクインしています(上位ではないですが)。つまり、出世に対して十分条件ではありませんが、マイナス要因ではありません。なので、完全に封印する必要はないのです。

周囲から「暑苦しい」と疎まれるくらいに過度なものでなければ、適度に表明してはどうでしょうか。

今、若手社員の中で、成長意欲が高い人は多いわけではありません。マイナビの調査では、若手社員が仕事をしていくうえで重要だと思うことの項目では、「成長意欲」は「良好な人間関係」「楽しさ」に続く第3位で、やや減少傾向にあります。成長意欲の表明はむしろ、自分のパーソナリティを社内で認知させるいい機会になるかもしれません。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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